ふとした瞬間に「もし、今自分が死んだら」と考えてしまい、言いようのない不安に襲われる…。その気持ち、誰にも言えずに一人で抱えていませんか。
結論から言うと、その感覚は全くおかしくありません。実は、あなたと同じように考えている20代は、5人に1人もいるのです。
この記事では、「死の準備」という重いイメージを一旦忘れ、20代の私たちにとっての終活を「今をより良く生きるためのライフデザイン」と捉え直す方法と、今日からできる具体的な第一歩をご紹介します。
読み終える頃には、漠然とした不安が、未来へのワクワクに変わっているはずです。
※当コンテンツは、「記事制作ポリシー」に基づき作成しています。事実と異なる誤認情報がみつかりましたら「お問い合わせ」までご連絡ください。
「私だけ?」いいえ、5人に1人の20代が「終活」を意識しています
「好きなアーティストの突然のニュースを見て、急に自分のことが不安になった…」
「仲の良かった友人が病気になって、人生って永遠じゃないんだなって思った…」
カウンセリングの場で、20代の方が終活を意識するきっかけとして、そんなお話を伺うことが増えました。SNSを通じて、同世代の人の死や、応援していた「推し」の引退・卒業に触れる機会が増えた現代では、若くして「終わり」を意識することは、とても自然な心の動きです。
その感覚を裏付けるように、楽天インサイトが2022年に行った調査では、20代の18.9%、つまり約5人に1人が「終活に関心がある」と回答しています。
終活に「関心がある」「まあ関心がある」と回答した人の割合
・20代:18.9%
出典: 「終活に関する調査」 – 楽天インサイト, 2022年11月25日
あなたが感じている不安や、万が一に備えたいという気持ちは、決して特別なことでも、おかしなことでもありません。むしろ、時代の変化を敏感に感じ取り、ご自身の人生と真剣に向き合っている証拠なのです。あなたは、決して一人ではありませんよ。
20代の終活は「死の準備」じゃない。「人生の解像度を上げる」最強の自己分析です
『終活』って、言葉がちょっと重たいですよね。私も昔はそうでした。でも、多くの若者と話す中で、この活動の捉え方が180度変わりました。
20代における「終活」とは、死の準備ではなく、「死」という視点を取り入れた究極のライフプランニングです。私はこれを「逆算ライフプランニング」と呼んでいます。人生の終わりから逆算して考えることで、「残された時間で、本当にやりたいことは何だろう?」「誰と過ごす時間を大切にしたいだろう?」という、自分の本質的な価値観がくっきりと浮かび上がってくるのです。
この「逆算ライフプランニング」で役立つのが、エンディングノートを「自分史ノート」として活用する方法です。20代にとってのエンディングノートは、遺言を記すものではなく、自分の価値観や目標を可視化するための自己分析ツールとして絶大な効果を発揮します。自分のこれまでを振り返り、未来を描くことで、漠然としていた人生の輪郭がはっきりしてくる。つまり、20代の終活は、これからの人生の「解像度」を格段に上げてくれる、最強の自己分析メソッドなのです。
怖くない、最初の一歩。今日から始める「デジタル終活」超入門
「考え方は分かったけど、具体的に何をすればいいの?」と思いますよね。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: いきなり、お墓や相続、葬儀のことを考える必要は全くありません。
なぜなら、20代の相談者が最初に挫折する一番の原因が、親世代向けの終活情報を読んでしまい、重すぎるテーマに圧倒されて怖くなってしまうことだからです。20代の終活は、もっと身近で、もっと自分事にできることから始めるのが成功の秘訣です。
そこで私がいつも最初にお勧めしているのが、あなたの不安に直結する「デジタル終活」です。デジタル終活とは、SNSアカウントやサブスクリプションサービスなど、デジタル上の資産や個人情報を整理することを指します。さっそく、今日からできる3つのステップをご紹介します。
はじめてのデジタル終活 3ステップ・チェックリスト
| ステップ | やること | なぜやるの? |
|---|---|---|
| □ ステップ1:パスワード管理 | 使っているWebサービスのID/パスワードを一覧に書き出す。(ノートや管理アプリなど) | もしもの時、家族がサブスクの解約などを行えるようにするため。一番の目的は、あなた自身の「忘れた!」を防ぐためです。 |
| □ ステップ2:SNSアカウントの棚卸し | もう使っていない「黒歴史」アカウントを削除する。主要アカウントの投稿を見直し、見られたくないものを消しておく。 | あなたの尊厳を守るため。そして、残された家族が、あなたらしい投稿だけを見られるようにするためです。 |
| □ ステップ3:スマホの写真整理 | 見られたら恥ずかしい写真やスクリーンショットを削除する。お気に入りの写真は、バックアップを取っておく。 | スマホの空き容量が増えて、動作が軽くなるという現実的なメリットも。思い出の写真を整理することで、自分の大切な瞬間を再確認できます。 |
よくある質問:「エンディングノート」って、20代は何を書けばいいの?
デジタル終活の次に関心が湧くのが「エンディングノート」かもしれません。でも、「20代で何を書けばいいの?」と戸惑いますよね。ご安心ください。20代のエンディングノートは、遺言や財産分与といった難しい話を書く必要は全くありません。
むしろ、書くこと自体が楽しくなる、未来のための「自分だけの取扱説明書」を作るつもりで、以下のような項目から自由に始めてみてください。
- わたしのこと(自分史): 生まれてから今までの、楽しかった思い出、頑張ったこと、人生の転機などを書き出してみる。
- 好きなものリスト: 好きな食べ物、音楽、映画、本、キャラクターなど、あなたの「好き」を100個書き出してみる。
- やりたいことリスト100: 死ぬまでにやりたいこと、来年やりたいこと、今週末やりたいことなど、大小さまざまな夢を書き出す。
- 大切な人へのメッセージ: 普段は照れくさくて言えない、家族や友人への「ありがとう」を書き留めておく。
これらの作業は、あなたという人間の輪郭をくっきりとさせ、これからの人生をどう生きたいかという、道しるべになってくれるはずです。
まとめ:「死」を考えることは、「生」を輝かせること
「終活」という言葉が持つ重々しさに、不安を感じていたかもしれません。しかし、ここまで読んでくださったあなたは、もうお分かりのはずです。
20代の私たちにとって、「死」を考えることは、決してネガティブなことではありません。それは、限りある時間の中で、自分の人生をどう使い、何を大切にし、誰と笑い合いたいかという、「生」の輝きを再発見するための、最もパワフルな問いかけなのです。
あなたのその繊細な感性は、これからの人生を何倍も豊かにする、素晴らしい才能です。不安になったらいつでもこの記事に戻ってきて、「自分は一人じゃないんだ」ということを思い出してくださいね。
[参考文献リスト]
- 楽天インサイト, “「終活に関する調査」”, 2022年11月25日, https://insight.rakuten.co.jp/report/20221125/
- 毎日新聞, “「推し活」が変える20代の死生観 「終活」もポジティブに”, 2023年8月20日, https://mainichi.jp/articles/20230819/k00/00m/040/269000c
[監修者情報]
本記事は、人生を豊かにするための考え方を提供するものであり、医療的なアドバイスではありません。深刻な不安や抑うつ気分が続く場合は、お一人で抱え込まず、専門のカウンセラーや医療機関にご相談ください。

