親との終活、何から話す?気まずくならない「きっかけ」と会話の進め方【専門家が解説】

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ご両親を大切に想うからこそ、終活の話は切り出しにくいものですよね。ですが、ご安心ください。実は親世代の半数以上が「子どもと話したい」と願っているというデータもあります。

この記事では、終活を「死への準備」ではなく「親のこれからの人生を応援する前向きな対話」と捉え直し、あなたの「切り出しにくい」という不安を「話せてよかった」という安心感に変えるための具体的な方法を、多くのご家族を支援してきた専門家の視点からご紹介します。

読み終える頃には、穏やかな気持ちでご両親との対話を始めるための、最初の一歩が踏み出せるはずです。

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その心配、不要かも?データで見る、親子の終活意識の「すれ違い」

「『縁起でもない』と親に怒られたらどうしよう…」
個別相談の場で、多くの方が最初に口にされるのが、この不安です。ご両親を大切に想うからこその、そのお気持ち、痛いほどよく分かります。

しかし、その心配は、もしかしたら少しだけ考えすぎかもしれません。

大手金融機関であるりそなホールディングスが2021年に行った調査によると、終活の意向がある親のうち、実に55.2%が「子供と終活について話したい」と考えていることが分かりました。一方で、子供側で「親と話したい」と考えているのは47.8%でした。

このデータは、子供が思う以上に、親世代はご自身の将来について冷静に考え、子と話すことを望んでいる可能性を示唆しています。あなたが「切り出しにくい」と感じている間、もしかしたらご両親も「いつ話そうか」と、そのきっかけを待っているのかもしれません。

終活は「終わり」の話じゃない。「これからを生きる」ための対話です

終活という言葉を聞くと、どうしても「死への準備」という少し寂しいイメージが先行しがちです。しかし、私たちが本来目指すべきなのは、単なる「死の準備(Death Planning)」ではありません。

終活の本質は、「人生の最終章を、どう自分らしく豊かに生きるかという計画(Life Planning)」を立てることにあります。

ご両親がこれまで歩んでこられた人生には、たくさんの物語や大切にしてきた価値観があります。終活の対話とは、その生きてきた証に敬意を払い、これから先の人生で何を大切にしたいのか、どんな希望を持っているのかを、親子で共有する絶好の機会なのです。

この対話を通じて、ご両親の本当の想いを知ることは、万が一の時にあなたが下す判断の拠り所となり、そして何よりも、家族の絆をより一層深めてくれるはずです。

【専門家直伝】気まずくならない、終活のはじめ方3つのステップ

それでは、具体的にどうすれば穏便な対話を始められるのでしょうか。ここでは、多くのご家庭で効果があった、3つのステップをご紹介します。

Step1: きっかけは「さりげなく」作る

いきなり「終活の話をしよう」と切り出すのは、やはりハードルが高いものです。まずは、自然な会話のきっかけを作りましょう。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 絶対に、お金や相続の話から入ってはいけません。

なぜなら、この点は多くの方が最初に躓くポイントで、「財産目当てなのか」とご両親に誤解され、心を固く閉ざされてしまう最大の原因だからです。まずは健康や思い出話など、気持ちの共有から始めることが、信頼関係を築く上で何よりも大切です。

📊 比較表
表タイトル: 状況別・会話のきっかけ作りフレーズ集

状況 きっかけのフレーズ例
自分の話から入る 「最近、自分の将来を考えてエンディングノートを書き始めたんだ。お父さんたちも一緒に見てみない?」
第三者の話題を借りる 「テレビで介護の特集をやってたけど、色々準備があるんだね。うちはどうなのかなって少し思ったよ。」
ポジティブな話題から 「この間、昔のアルバムを見てたんだ。お母さんのやりたかったこととか、もっと色々聞いてみたいな。」
手伝いの申し出から 「今度、実家の片付けを手伝うよ。大事な書類とか、どこにあるか一緒に確認しておかない?」

Step2: 最初のテーマは「気持ち」や「健康」の話を選ぶ

きっかけが作れたら、次に話すテーマを選びます。前述の通り、お金の話は後回しです。まずは、ご両親の気持ちや健康に関する、以下のようなテーマから始めると良いでしょう。

  • 健康や医療について: 「もしもの時、延命治療はどうしたい?」「かかりつけのお医者さんは誰?」
  • 思い出話や価値観: 「今までで一番楽しかった旅行はどこ?」「大切にしているものは何?」

リビング・ウィル(尊厳死の宣言書)という言葉をご存知でしょうか。これは延命治療に関する本人の意思を示す重要な書類ですが、エンディングノートの医療・介護の項目で、このリビング・ウィルに相当する意思を書き記しておくことも可能です。まずはエンディングノートを通じて、ご両親の医療に関する希望を尋ねてみるのが良いでしょう。

Step3: 「エンディングノート」を対話のツールとして活用する

「エンディングノート」は、終活の対話を進める上で非常に強力なツールです。このノートは、単なる身上書の控えではありません。親子で一緒にページを開き、項目を一つずつ埋めていくことで、自然な形で必要なテーマについて話し合える「対話のきっかけツール」なのです。

書店や文具店で様々な種類のものが市販されていますので、「一緒に選んでみない?」と誘ってみるのも良い方法です。

親子で話しておきたい7つの重要テーマと、聞き方のヒント

エンディングノートなどを活用しながら、少しずつ以下のテーマについて話し合っていきましょう。一度に全てを話す必要はありません。数ヶ月、あるいは数年かけるつもりで、焦らず進めることが大切です。

  1. 医療と介護について
    • なぜ話すか: もしもの時に本人の意思を尊重した判断をするため。
    • 聞き方のヒント: 「もし意識がなくなったら、どんな医療を受けたい?苦しいだけの延命治療は望む?」
  2. 財産と相続について
    • なぜ話すか: 誰が何を相続するのかを明確にし、家族間のトラブル(争族)を防ぐため。
    • 聞き方のヒント: 「預貯金や保険のこと、私たちが把握しておかないと万一の時に手続きが大変だから、教えてもらえるかな?」
  3. 葬儀とお墓について
    • なぜ話すか: 本人の希望を叶え、残された家族の負担を減らすため。
    • 聞き方のヒント: 「どんなお葬式で見送られたい?お墓は、将来的にどうしたいと考えている?」
  4. 連絡してほしい友人・知人について
    • なぜ話すか: 大切なご縁があった方々に、きちんと訃報を伝えるため。
    • 聞き方のヒント: 「もしもの時、必ず連絡した方がいいお友達は誰かな?連絡先をまとめておいてもらえると助かるな。」
  5. 大切なペットについて
    • なぜ話すか: 自分がいなくなった後、愛するペットの世話を託すため。
    • 聞き方のヒント: 「〇〇(ペットの名前)のこと、もしお世話ができなくなったら、誰にお願いしたい?」
  6. デジタル遺品について
    • なぜ話すか: PCやスマホのデータ、SNSアカウントなどをどう処理するか決めておくため。
    • 聞き方のヒント: 「スマホのロック解除のパスワードや、見られたくないデータのこと、どうしておきたいか決めてる?」
  7. 人生の思い出と家族へのメッセージ
    • なぜ話すか: ご両親が生きてきた証と、家族への想いを形として残すため。
    • 聞き方のヒント: 「私たちに伝えておきたいこと、何でもいいから書いておいてくれると、それが私たちのお守りになるよ。」

まとめ:最初の一歩が、未来の「ありがとう」に繋がる

終活の対話は、時に勇気が必要かもしれません。しかし、その対話は、親が子に贈る最後のラブレターのようなものだと私は思います。

この記事でご紹介した方法が、あなたの「切り出しにくい」という不安を、ご両親への深い愛情を伝えるための行動に変える一助となれば幸いです。

大切なのは、一度に全てを聞き出すことではありません。対話を始める、その最初の一歩を踏み出すことです。その勇気が、未来のあなたとご家族にとって、かけがえのない「話しておいてくれて、ありがとう」に繋がることを、心から願っています。

[参考文献リスト]

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