終活、何から始める?「やることリスト」より大切な「最初の一歩」

終活情報

「そろそろ終活を」と思っても、何から手をつけていいか分からず、時間だけが過ぎていく…。そんな漠然とした焦りを感じていませんか。

ご安心ください。その答えは、ネットで「やることリスト」を探すことではありません。実は、もっとシンプルで、確実な第一歩があります。

この記事では、1,000人以上の初心者の相談に乗ってきた専門家が、あなたの不安を解消する「たった一つのツール」を使い、終活の全体像を掴む方法を、どこよりもやさしく解説します。

読み終える頃には、「これなら私にもできる」という安心感と、次のお休みに何をすべきかが明確になっているはずです。

なぜ、終活を考えると「途方に暮れて」しまうのか?

私の終活教室で、参加者の皆さまが最初に口にされるのが、「何から始めればいいのか、さっぱり分からなくて…」というお悩みです。そのお気持ち、とてもよく分かります。

終活について調べ始めると、「遺言」「相続」「お墓」「介護」「保険」「断捨離」…と、専門的で、なんだか重たい言葉がたくさん出てきますよね。真面目に考えれば考えるほど、その情報の多さに圧倒されて、途方に暮れてしまう。それは、あなたがご自身の人生と、ご家族のことを真剣に考え始めた、何よりの証拠なのですよ。ですから、まずは「分からない」と感じているご自身を、決して責めないでくださいね。

答えはリストにあらず。「エンディングノート」という名の地図を手に入れよう

終活の第一歩として、多くの方がインターネットで「やることリスト」を探そうとします。しかし、私はいつも「リストを探すのは、一旦やめてみましょう」とお伝えしています。なぜなら、あなたにとって最高の「やることリスト」は、すでにあるからです。

その答えこそが、「エンディングノート」です。エンディングノートは、終活という広大な土地を旅するための、あなただけの「地図」の役割を果たしてくれます。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: エンディングノートの「目次」こそが、あなただけの最高の「やることリスト」です。

なぜなら、市販のエンディングノートには、専門家が長年の経験から導き出した「終活で考えるべきこと」が、すでに体系的に整理され、質問形式で網羅されているからです。あなたは、難しいことを一から考える必要はありません。ただ、その地図を眺めることから始めればいいのです。

終活でやるべきことは、突き詰めると、大きく分けて「モノ」「お金」「情報(想い)」の3つの整理に集約されます。そして、良質なエンディングノートは、これら3つの分野をバランス良くカバーできるように作られています。

最初の一歩は「書く」ことじゃない。「眺める」だけでいいんです

「エンディングノートがいいのは分かったけれど、いざ書くとなると、やっぱり手が止まってしまいそう…」。そう感じますよね。実際、多くの方が、最初から完璧に書こうとして挫折してしまいます。

ですから、ご安心ください。エンディングノートを手に入れても、すぐに書く必要は全くありません。 終活の本当の第一歩は、「書く」ことではなく、もっとずっと簡単なことです。

【挫折しないための、3つの超スモールステップ】

  1. ステップ1:書店で「お気に入りの一冊」を探す
    まずは、お散歩のついでに、近所の書店を覗いてみてください。最近のエンディングノートは、シンプルなもの、可愛らしいイラストが入ったもの、家族と一緒に書けるものなど、デザインも内容も様々です。あなたが「これなら、そばに置いておきたいな」と心から思える、お気に入りの一冊を見つけること。これが、何よりも大切なスタートです。
  2. ステップ2:お茶を飲みながら、ただ「目次」を眺めてみる
    家に帰ったら、お好きなお茶でも淹れて、リラックスしながら、買ってきたエンディングノートの目次や各ページを、ただパラパラと眺めてみてください。「こんなことを考えるのか」「ここはすぐに書けそうだな」「ここは、ちょっと夫と相談しないと分からないわ」…。そうやって全体像(地図)を把握するだけで、漠然としていた不安が、具体的な課題へと変わっていきます。
  3. ステップ3:自分の「名前」と「誕生日」だけ書いてみる
    もし、少しだけ書く気力が湧いてきたら、最初のページにあるであろう、ご自身の名前と誕生日の欄だけ、書いてみましょう。それだけで、今日は100点満点です。その一文字が、あなたの終活という旅の、記念すべき第一歩になります。

夫が非協力的…。「エンディングノート」をどう見せる?

「自分は始めたくても、夫が『まだ早い』と取り合ってくれないんです」。これも、本当によく伺うお悩みです。そんな時こそ、エンディングノートが、ご夫婦の間の素晴らしい「対話のツール」になります。

ここでも、「終活」という言葉は使わないのがポイントです。

例えば、エンディングノートの「大切なものリスト」のページを開きながら、こう切り出してみてはいかがでしょうか。
「ねえ、あなた。この間見つけた、昔の新婚旅行の写真。私にとっては宝物なんだけど、もし私に何かあったら、あなた、どこにあるか分かるかしら?私の宝物リスト、一緒に作ってくれない?」

あるいは、「銀行口座や保険」のページを見せながら、
「私がいつも手続きしているけど、もし私が倒れたら、あなたが一番困るでしょう?二人のお金のことだから、このノートに一緒にまとめておかない?」
と、愛情と、現実的な必要性の両面から、ご主人を巻き込んでいくのです。ご主人を責めるのではなく、「あなたのために、私も安心したいの」というスタンスで伝えることが、固くなった心を開く鍵になります。


まとめ:あなたの「地図」、手に入れることから始めませんか

終活の第一歩は、重い腰を上げて何か大変なことを「始める」ことではありません。

まずは、あなただけの「地図」となる、心ときめくエンディングノートを一冊、手に入れること。そして、これから進むべき道のりの「全体像」を、ただ、ゆっくりと眺めてみることです。

それだけで、あなたの漠然とした不安は、具体的な道筋へと変わり、驚くほど心が軽くなるはずです。その小さな一歩が、これからの人生を、そしてご家族の未来を、より豊かで安心なものへと導いてくれます。

[監修者情報]

本記事で紹介する法的な項目(遺言など)については、一般的な情報提供を目的としています。具体的な手続きは、弁護士や行政書士などの専門家にご相談ください。

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